薬の適応外使用と治験

例えば、Aという病気で医師の診察を受けた際、「これはBという病気の薬ですが、Aにも効きますよ」と言われてその薬を処方された場合、薬代は保険から支払われるのでしょうか? 医薬品の効能・効果、用法・用量は、薬事法の承認の際に決められており、保険適用される際も、その範囲内になります。効能として書かれた治療対象となる病気を「適応疾患」と言います。

それ以外の使い方は「適応外使用」と呼ばれ、保険は効かないのが原則です。しかし、現場では、保険の証人範囲で使える薬が非常に少ない新生児には、適応外使用がしばしば行われてきました。そうした適応外使用のとき、保険の扱いはどうなるのでしょうか?

一つは、そのまま保険の審査が通るケースです。旧厚生省は薬理作用に基づく処方なら機械的には序しないという趣旨の通知を出し、2004年の通知でも再確認しています。このため、審査を担当する社会保険診療報酬基金国民健康保険団体連合会は個別事例ごとに判断してきました、審査を通るかどうか、事前に分かりにくく、地域差もあります。

もう一つは、審査を通るよう、実際とは異なる「保険病名」をつけて医療機関が請求するケースです。不正に該当ケースがあるほか、調剤薬局が注意事項を正しく患者に伝えられない、副作用が適切に報告されないなどの問題があります。根本的には、製薬会社が新たな効能の追加承認を取得すればよいのですが、薬事法に基づく臨床試験を行うためには、労力と費用がかかります。

そこで政府は1999年以降、抗がん剤を中心に、欧米殿使用実績や化学的データがあれば、治験なしにも薬事法による効能の拡大を認めることにしました。さらに2004年から、その手続きに入った薬に限り、保険外の薬代を患者から別に徴収しつつ、通常の診療を保険で行うことに認めました。